京都市は民泊の仲介サイト運営事業者に負託し、民泊施設の宿泊者から宿泊税を徴収する方向で検討を進めていることを朝日新聞が報じた。これに伴い、民泊の仲介サイトとして国内最大手のAirbnb(エアービーアンドビー)などに対して徴収代行を要請する。
年々増加の一途をたどる訪日外国人客数などを背景に、宿泊施設の不足を補う民泊が脚光を浴びており、運営の規制を緩める住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)が来年6月にも施行される見込みで、関連する制度などを見直したりする動きが出始めている。
宿泊税については、国内ではすでに東京都と大阪府が宿泊料金に応じて徴収しているが、対象となるのはホテルと旅館の利用者のみ(※大阪府では2017年7月から特区民泊も課税の対象となる)。これに対し、京都市はホテルや旅館に限らず無許可の民泊施設を含むすべての宿泊施設を対象に宿泊税の導入を検討している。同市が全宿泊施設の利用者に宿泊税を課すことを決定すれば、日本初の事例となる。
海外における民泊利用者からの宿泊税の徴収方法としては、仲介サイトがまず利用者から税を徴収してから自治体に代理納付するケースが多い。このため、京都市でもAirbnbなどの仲介サイトを通した徴収を考えているという。
Airbnbは、世界で120億円の税収入を代理納付
Airbnbは、全世界で「税金の自主回収に関する契約」(Voluntary Collection Agreement、以下VCA)を推し進めており、国や都市がVCAに合意すると、Airbnbが宿泊税(滞在税・客室税等)を予約取引の一部として回収して、税当局に代理納付する。
日本での宿泊税の徴収は特別徴収制度が採られており、ホテル又は旅館の経営者が宿泊者から宿泊料金と合わせて宿泊税を徴収しまとめて納入する必要がある。VCAは、ホストを含む宿泊事業者は従来の納税プロセスから解放されるともに、国や都市にとっても徴収にかかる負担を軽減する仕組みとなる。
VCAはすでに世界200超の国や都市で合意されこれまで約120億円(1億1千万ドル)の税収入を回収し代理納付してきた実績もある。日本国内ではこれまで実績はないものの海外ではあることから日本展開も容易で、京都で初めてAirbnbによる宿泊税の代理納付がスタートする可能性もあり、今後の動向から目が離せない。