民泊の無許可営業や斡旋・代行をしたとして、京都府警は10月30日、旅館業法違反(無許可営業)で、名古屋市の管理会社の社長(43)と役員(47)ら男女計5人を書類送検した。インターネットを通じて、ホスト(民泊経営者)を募集するなど、無許可民泊を組織的に行っていたという。
府警は社長と役員のほか、管理会社の物件で民泊を経営していた会社員の男性(33)=東京都練馬区=と、民泊代行会社の男性役員(27)=大阪市北区=の2人も書類送検した。
送検容疑は8月下旬、京都市右京区の3階建ての住宅で中国人観光客6人を旅館業法の許可を得ず、約50,000円で3泊させた疑いでいずれも容疑を認めている。
府警によると、管理会社の社長らは2016年4月に同所で民泊営業を開始。摘発されるまで、中国を含む26カ国・地域のインバウンド(訪日外国人)を約1,200人宿泊させ、約700万円の売り上げがあったとみられる。
無許可民泊を経営していた地域は、ホテルや旅館の営業ができない「住居専用地域」に用途地域が指定されている。京都市は業者らに再三にわたって行政指導をしてきたが、従わなかったため、10月上旬に府警に告発した。
摘発により、民泊代行業者も無許可民泊と認識していたことが明らかになった。府警によると、2018年6月をめどに施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)まで、行政指導を無視して営業を続ける意向のやりとりがあったとしている。
なお、今年の9月には大阪市中央区の民泊代行会社の共同代表2人が、旅館業法違反の疑いで書類送検されていた。
京都市では無許可の民泊が数多く点在していると言われる。市が実施した2016年の観光総合調査によると、無許可民泊の利用者が110万人という推計値を発表。修学旅行の宿泊人数よりも多いことが判明していた。
京都市では2019年にラグビーのワールドカップ、2020年に東京五輪・パラリンピック開催も控える。今後もインバウンド需要が高まることが予想される。門川大作市長は10月26日の宿泊税導入をめぐる市議会で、税の公平性の観点からも「違法民泊施設は許さない」としていた。