観光庁はこのほど、8月31日時点の住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出件数と受理件数を公表し、民泊届出件数が8,272件(民泊受理件数:7,028件)に達したことを明らかにした。
同法施行の6月15日時点では民泊届出件数が3,728件、民泊受理件数が2,210件となっていたが、約3か月で届出件数は2.2倍、受理件数は3.2倍にまで増えている。
民泊を合法的に行う制度としては大阪市や東京都大田区を中心に特区民泊が先行しているが、民泊の届出件数は特区民泊の申請件数4,011室を大幅に上回っている。
保健所設置市及び特別区を含む都道府県別の民泊届出件数では、3,161件(38%)の東京都が最多で次いで1,320件(16%)の北海道、3位に719件(8%)の大阪府が続いた。
民泊の届出件数は着実に増えてはいるものの、同法施行前に約56,000施設※あった民泊施設のうち約1割にあたる施設でしか届出が進んでいない。(※民泊市場のリサーチ・調査を手掛けるメトロエンジン株式会社が提供する民泊ダッシュボードのメトロデータによる)
観光庁の集計データを基にAirstairで再調査を行ったところ、8月18日から8月31日までの一日あたりの平均届出件数は48件で、7月28日から8月17日までの47件と比べると増加ペースは維持されている。このペースで届出が増えた場合年内には約1万4千件(推計値)近くになる。
大阪市伸び悩みの背景には特区民泊の影響か
届出を行うことで民泊の営業を可能にする住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行されたが、大阪市で民泊の運営を行う場合、旅館業法の許可あるいは特区民泊の認定、住宅宿泊事業の届出のいずれかで可能だ。
住宅宿泊事業では年間180日以内でかつ住居専用地域や小学校周辺で民泊運営が制限されるが、特区民泊では年間の営業日数制限は一切なく365日民泊営業が可能だ。
そのため大阪市では特区民泊の届出が急増しており2018年8月31日時点では、全国の特区民泊申請件数(居室ベース)4,011室のうち大阪市の申請数(居室ベース)は約9割の3,561室を占めるまでに成長している。
大阪市で住宅宿泊事業を営む場合規制が多いことから、大阪市では特区民泊の民泊施設がさらに増えるとみられる。