民泊の条例規制相次ぐ 東京23区では約3分の2が対象に 

今年6月に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)を見据え、全国の自治体で条例による独自規制が広がっている。東京23区では約3分の2に相当する区が、営業地域や日数を制限していることがわかった。

多くのインバウンド客が訪れる東京は、民泊条例によって大きな規制を受けることになる。観光庁によると、2016年のインバウンド数は全体で2,404万人と過去最高を更新。都が実施した「東京都観光客数等実態調査」によると、2016年に東京都を訪れたインバウンドは1,310万人で全体の5割強に当たる。

政府では20年のインバウンド数を4,000万人に掲げ、民泊新法による規制緩和を打ち出したが、東京では民泊の規制を強化する条例を制定する動きが増えている。

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(※1) 都市計画法第 8 条第 1 項第 1 号にいう第 1 種低層住居専用地域、第 2 種低層 住居専用地域、第 1 種中高層住居専用地域及び第 2 種中高層住居専用地域
(※2)民泊物件数のデータ出典は、メトロエンジン株式会社(メトロデータ)2017年11月時点

【東京23区の民泊条例制定に向けた動き】
▽条例が成立した区
・大田区=2017年12月8日成立
・新宿区=2017年12月11日成立
▽2018年2月の各議会へ条例案を提出する区
・世田谷区・中野区・板橋区・練馬区・文京区・千代田区・港区・目黒区・中央区・杉並区・足立区・江東区
▽条例制定を検討している区
・台東区・荒川区

現状では渋谷区と豊島区でも有識者会議などを開催しており、民泊条例制定に向けた動きがある。民泊条例の動きが具体化していないのは、墨田・品川・北・葛飾・江戸川の5区だけとなっている。

民泊を条例で規制する背景には、従来の旅館業法ではできなかった有償で旅行者を泊めるビジネスが住宅地でもできるようになることから、周辺地域の住環境を守りたいという意向があるようだ。

政府は12月26日に民泊を過剰に条例で規制するのは好ましくないとするガイドラインを各自治体に通達。12月28日に民泊条例の骨子案を発表した長野県は、ガイドラインに沿うような形となった。一方で大田区は住居専用地域や工業地域で民泊を全面禁止にする条例が成立しており政府の方針とは温度差がある。

東京に限らず多くの自治体で民泊の規制条例を制定する動きが相次ぐが、このまま民泊営業が制限される事態となれば、住宅宿泊事業法が骨抜きとなる可能性も高く今後の動向から目が離せない。

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