プリンスホテル 訪日客が2ケタ増 「コト消費」への関心高まる

西武ホールディングスはこのほど、西武グループが展開するプリンスホテルの2017年1~8月のインバウンド売上(室料収入)が、13.2%増になったと発表した。インバウンド宿泊客数は4.7%増の約75万8,000人だった。

西武グループでは、趣向を凝らした体験イベントなどの取り組みを本格的に実践し、その結果インバウンド売上が前年同期比で2ケタ増の躍進を見せている。西武グループのインバウンド需要を満たす3つの施策は次の通り。

1. 多様な文化体験の展開
2. 地方交通手段の充実
3. 受け入れ態勢の拡大

【多様な文化体験の展開】
▽日本酒3種呑み比べチケットの配布
「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」では、2017年1~8月の宿泊者の70%が外国人。レストランでは日本酒が欧米人に好まれ、販売額が同4~8月の期間で目標値の17%増となった。レストランへの誘客が成功した形だ。
▽和の空間でお月見体験「TSUKIMI LOUNGE」
「ザ・プリンス パークタワー東京」では2017年8月に、「スズムシカフェ」を期間限定で営業し、浴衣(レンタル)を着ながら和の雰囲気を満喫できる空間を演出。目標の76%増のインバウンドの集客に成功した。10月15日まで「TSUKIMI LOUNGE」をオープンし、中秋の名月などを楽しんでいた。
▽その他
・グランドプリンスホテル高輪=生け花教室、茶道、利き酒、風呂敷包みの体験
・箱根関所 旅館物語(伊豆箱根鉄道)=きもの着付け体験、お抹茶体験

【地方交通手段の充実】
▽西武鉄道
2017年4月から全線(多摩川線を除く)乗り降り自由の「SEIBU 1day PASS」などをインバウンド限定で発売。沿線観光地への誘客につなげた
▽近江鉄道
「OhmiRail 2-Day Pass」を発売。滋賀県は戦国時代の面影が残る城や城跡などの歴史的建造物が多く、欧米人の関心が高い地域性に着目した
▽伊豆箱根鉄道
「Izuhakone Line 2-Day Pass」を発売。2日間の乗り放題となる外国人限定の切符で大勢のインバウンドらが利用

【受け入れ態勢の拡大】
▽西武鉄道
英語・中国語・タイ語などの多言語パンフレットの作成・配布を実施。PR展開のため、現地メディアを招待する「メディアFAMツアー」の実施。
▽びわ湖大津プリンスホテル・近江鉄道
滋賀エリアの観光スポットなどを紹介したフリーペーパーの制作(英語、中国語、韓国語に対応)。

外国人観光客が求めているのは日本のハード面の拡充よりも、独自の文化の体験や世界屈指の「おもてなし」の精神なのかもしれない。世界で追随を許さない日本のアニメとコスプレを融合させたイベントも、外国人観光客にとっては他国では体験できない唯一無二の「コト体験」と言えるのではないか。



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