特区民泊、全国700室を突破 7割は大阪市に局所集中

国家戦略特区を活用してマンションの空き部屋などに旅行者を宿泊させる特区民泊の認定施設数(居室数)が8月17日時点で、240施設734居室となったことがわかった。民泊専門メディアAirstair(エアーステア)が独自に行った取材により明らかになった。

特区民泊は、2016年1月29日に東京都大田区で全国で初めてスタート。2016年4月には大阪府の一部でもスタートし2016年10月には大阪市でも開始していた。なお2017年は北九州市、新潟市でもスタートしている。8月17日時点での認定件数の内訳では、大阪市がもっとも多く192件529室、大田区は42件196室、大阪府は5件8室、北九州市は1件1室だった。※

※大阪市、大田区、大阪府の特区民泊認定施設数はすべて独自調査によるもので、各自治体の特区民泊特設ページにて開示されている情報よりも最新のデータとなっている点にご注意ください。

民泊のビックデータ解析を手がけるメトロエンジン株式会社の「メトロデータ」によると、2017年6月時点で民泊物件が多いのは、東京都(約15,000件)で、大阪府(約11,000件)が続く。中でも大阪市中央区は日本全国の市区町村の中でもっとも物件数が多いエリア。

大阪市の特区民泊の開始時期は1月にスタートしていた大田区と比べると遅かったにもかかわらず、物件数を着実に伸ばし大田区を大きく突き放した。大阪市は、大田区に比べると訪日客が多く訪れるエリアで民泊物件数も多く存在していることから特区民泊の申請を行う事業者が大幅に増えたようだ。

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民泊新法の180日上限は特区民泊ではない

全国的に民泊を解禁する住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)が来年4月に施行を控える中で、あえていま特区民泊の申請数が特に大阪市で集中しているのだろうか。その背景には、民泊新法で制限される年間180日という営業日数制限がありそうだ。

新法民泊では年間180日以内でしか民泊の運用を行うことができない、その一方で特区民泊では1年中部屋の貸し出しができる。特区民泊にも2泊3日以上の旅行者しか泊めることができないという制約はあるが、そもそも民泊では2泊3日以上のゲストしか受け入れない民泊ホストも多く、年間180日という上限に比べれば収益性が見込めることから参入者が急増していると見られる。

これまでの民泊市場は無許可営業が問題となっていたが、民泊新法に向けて特区民泊や新法民泊での合法民泊がさらに増えることは確実だ。



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