中国の新興企業向け市場「新三板」に上場する中国民泊仲介サイト大手の住百家(ジュバイジャ)(NEEQ:837077)は、経営危機に陥り年次報告書を開示しなかったことから7月9日に上場廃止となったことが明らかになった。
住百家は2012年に設立した深圳に拠点を置く中国発の民泊サイトで、アウトバウンド(中国人による国際旅行)にフォーカスした民泊サイトを特徴としており世界80ヵ国、800都市で300,000件以上の物件を掲載している。
中国民泊サイト最大手の途家(トゥージア)や小猪(シャオジュー)などの中国民泊サイトは中国国内の掲載物件数が多いのとは対照的に、中国国外の売上が全体の60%以上(2016年)を占めるなどアウトバウンドに特化しているという点で他の民泊サイトとは異なる。
また24時間365日のカスタマーサービスでは航空券の手配やレンタカーの予約など手厚いフォローアップも行っており、中国のミドル~ハイクラス層の利用者が多いなどの特徴もあった。
住百家は2014年から2015年にかけてサービスが急成長しており、CrunchbaseによるとAB Capitalや海南航空グループ(HNA)などから総額約120億円近くの資金調達を実施。
2016年には中国の民泊仲介サイトとしては初めて中国の新興企業向けの新三板市場に上場するなど注目を集めていたが、途家やAirbnbなどとの競争激化で3年連続赤字となるなど業績は芳しくなかった。
中国では民泊仲介サイト同士の競争が激化
中国では国内最大手の途家や小猪、住百家、Airbnbなど複数の民泊仲介サイトが乱立し熾烈な戦いを繰り広げていた。世界最大手として知られるAirbnbは先行する途家などに後れを取っていたが、「Aibiying (爱彼迎)」へのリブランディングを行うなどで中国市場強化を鮮明に打ち出していた。
住百家は2017年には日本の民泊イベントにも出店するなど日本国内でもプロモーションを行うなど日本市場も強化しており東京や大阪、京都などの物件も多数掲載されているが、業績は思うように改善しなかったようだ。
なお、中国の民泊仲介サイトには途家や小猪、住百家以外にも自在客(Zizaike)や一家民宿(Onehome)などがあり、このうち途家と自在客は、6月15日に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)に則り日本の住宅宿泊仲介業者として登録している。
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