民泊プラットフォームの世界最大手のAirbnbが、違法民泊を防止するため本格的な対策に着手することを毎日新聞が伝えた。Airbnbのサイトに新規登録する際、都道府県などの自治体へ登録情報を提供してヤミ業者を排除する。
後を絶たないヤミ民泊業者の阻止に向けて、Airbnbが本格的に動き出す。毎日新聞によると、新規登録業者の情報を対象自治体に提供。これにより、各自治体では適法業者と届け出のない業者をふるいにかけることができるようになる。
無届けの業者であった場合、Airbnbではサイトの掲載を拒否するという。民泊利用者は、スマホなどの端末機器を介して民泊を利用するので、ヤミ民泊業者の根絶に向けて、非常に有効な措置となる可能性がある。
Airbnbではこれを機に、サイトに掲載している既存の民泊業者も、自治体への情報提供の対象にする。無届けの民泊業者には、届け出を促していく。一定期間を設定して、その間に各自治体への届け出を確認できなければ、サイトの掲載を中止や削除する方針だ。
民泊運営代行会社にとっては、世界最大手のAirbnbでの物件情報の掲載が拒否や削除されれば、民泊の事業ベースでの運営が非常に困難になる。
Airbnbが自治体へ民泊業者の情報を提供するのは、2018年1月から施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)をにらんでのもの。旅館業法の規制を大幅に緩和して、一般住宅を有料で客(ゲスト)を泊める「民泊」は、家主などの事業者が各都道府県への届け出が義務付けられている。
現行の旅館業法では、各都道府県に簡易宿所の許可を受けなければならない。大阪府の一部や東京都大田区などの国家戦略特区の場合は、旅館業法あるいは特区民泊の認定を取得しなければならない。
旅館業法の場合、違反した場合の罰金が3万円と少額であるため、ヤミ民泊業者にとって罪の意識が希薄になるのが実情だ。だが、違法民泊業者を仲介した場合、仲介業者のAirbnbなどにも監督官庁から業務停止の行政処分や法令違反を問われるリスクが出てくる。
Airbnbを含む民泊仲介サイトで扱う物件の多くは、各自治体への許認可を得ていない違法物件とみられる。
2017年1月には、大阪の違法民泊をマンション管理組合が提訴。所有者(ホスト)に対して、大阪地裁が損害賠償として50万円の支払いを命じる判決が出ている。2017年にも東京のマンション管理組合が、違法民泊をしている区分所有者を相手取り、75万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴している。