グローバル企業のAirbnbが、Tポイント連携など日本での「極端なローカライズ」に踏み切った理由とは

民泊仲介サイトのAirbnb(エアービーアンドビー)は住宅宿泊事業法(民泊新法)施行前日に「Airbnb day」を渋谷ヒカリエで開催し、産業横断型の新組織「Airbnb Partners」の立ち上げやTポイント連携などの新戦略を発表した。

「Airbnb partners」とはソフトバンクや大塚家具、KADOKAWAなど日本企業36社とともに立ち上げられ、各社の強みを生かし安心安全な民泊の普及拡大に取り組んでいく世界初の新組織。

また、TSUTAYAなどを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とAirbnbは年内にTポイントサービスを導入することを発表し、今後Airbnbでの宿泊でTポイントを貯めることができるようになる。

ご存知の通り、Airbnbは全世界191カ国、81,000の都市で、約500万室のリスティングを提供するグローバル企業で、Airbnbが日本に初めて進出した際は、日本語版のWebサイトを開設するのみでこれまでローカライズには力を入れていなかった。

しかし、Airbnbはこれまでの方針を大きく転換し、”世界初”となる産業横断型の新組織「Airbnb Partners」や”世界初”のTポイント加盟で明らかなように極端なローカライズに踏み切った。

Airbnbがここまで極端なローカライズに踏み切った理由とは何なのだろうか?その背景には大きく3つの理由があるようだ。

 

Booking.comとの連携で忍び寄る「楽天」の影

楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULL STAY株式会社は6月15日に、民泊仲介サイト「Vacation Stay」を立ち上げた。同サービスを民泊や簡易宿所を運営するホストと、旅行者などのお客様をつなぐ民泊仲介サイトと説明すれば、あまり魅力を感じないだろう。

しかしAirbnbを初めとする民泊仲介サイトと大きく異なるポイントがある。それはBooking.com、楽天トラベル、HomeAway、途家などの民泊仲介サイトにも同時掲載できる「在庫管理システム」だ。

これまでも、ホテルや旅館などがBooking.comや楽天トラベルなど複数のOTAに掲載することはできたが、ダブルブッキングが発生しないように他社が提供するサイトコントローラー等を通じて在庫連携を行う必要があった。

しかし、「Vacation STAY」では民泊仲介サイトのサービス提供に加えて、Booking.comなど複数のOTAや民泊仲介サイトの「在庫管理システム」も提供され予約や在庫の管理、売り上げや入金もすべて1つのアカウントで管理できる。

「Vacation Stay」はまだオープンまもなく宿泊利用者は少ないとみられるが、楽天トラベルやBooking.comなど国内海外ともに利用者の多いOTAにも同時掲載できるメリットは大きく、広がる可能性はある。

「Vacation Stay」より

 

楽天会員約9,000万人、国内利用者の多い楽天トラベル

民泊仲介サイト世界最大手として知られるAirbnbは世界最大規模の物件数を有するとともに、これまで3億人が利用するなど順風満帆で一見して弱点はないように見える。

しかしそんなAirbnbの弱点を上げようとするならば、Airbnb宿泊利用者に占める日本人割合が少ない点が挙げられる。2017年にAirbnbが公表したデータによると日本人利用は全体の約2割程度で、訪日外国人による利用率がまだまだ高い状況だ。

この状況を打破すべくAirbnbが導入を決めたのが、約6,700万人の会員を有するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のTポイントへの加盟であろう。

6700万人のTポイントユーザーのデータをAirbnbのCRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)を活用し、Airbnb利用にマッチするTポイントユーザーに対してアプローチを行うことでAirbnbの日本人利用者の拡大を見込む。

楽天会員数約9,000万人を有し楽天トラベルや楽天市場など様々なサービスを展開する楽天グループの民泊仲介サイト「Vacation Stay」も意識しているだろう。

《関連記事》楽天、Booking.comへの同時掲載できる民泊仲介サイト「Vacation Stay」開始

 

「東京」は世界81,000都市最も人気のあるエリア

Airbnbが公表した2018年上期の予約状況に基づく調査結果によると、2018年の上期にもっとも予約された都市ランキングで東京が第一位、大阪が第三位にランクインした。

2位にはフランス・パリが4位にはアメリカ・ニューヨークがランクインしており、東京はこれらの都市を上回るほどの人気でグローバルでみても日本の存在感は非常に強い。

Airbnbは6月2日に未届けの民泊を一斉削除したが、すぐに約33億円(3,000万ドル)以上の投資を含む新戦略「Japan 2020 プラン」を発表した背景には、日本の人気度が高いことも理由の一つとしてあるようだ。

Airbnbは、「Airbnb Partners」やTポイント連携、約33億円(3,000万ドル)以上の投資を含む新戦略で日本での覇権拡大を狙っていくことになるだろう。

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