パリ、民泊物件の登録義務付けへ 日本の先例になるか

パリ市議会は、Airbnbなどの民泊プラットフォームでアパートメントを貸し出す人々に対し今年12月から市役所での民泊物件の登録を義務付けることを複数のフランスメディアが一斉に報じた。市の関係者によると家主の登録は10月1日に開始され、12月1日には登録が義務化されるという。

民泊物件の登録義務付けについては、これまでAirbnbに反対の立場をとっていたフランスのホテル事業者の間では歓迎されているようだ。

昨年3月に全旅連の招聘によりフランスのホテル、レストラン関連業界団体が来日。民泊に関するテーマで開催された緊急フォーラムでは当時の日本よりもAirbnbが浸透していたフランスについて、ホテルの廃業や住宅難などの問題が起きていることについて語られていた。

35万軒におよぶリスティングが存在するフランスは、アメリカに次いで Airbnb の世界第2位の市場となっている。外国人訪問者数ランキング※ではパリは世界で最も多く、単一の市場としては最大で、6万5000件がAirbnbに登録されている。

世界各国、地域への外国人訪問者数ランキング

 

120日の貸し出し日数制限の提案も

ロイター通信によると、今年12月から市役所での民泊物件の登録を義務付けることを受けて民泊プラットフォームを運営するAirbnbは、パリをはじめとするフランスの主要都市に対し、上限日数である年120日を超えて民泊物件の貸し出しができないよう、自動的に制限をかけることを提案していたと明らかにした。

Airbnb のスポークスマンがロイター通信に対し、「パリをはじめとしたフランスの主要都市に対し、登録の代替案として、Airbnb上での滞在を自動的に120日に制限することで秘密裏の営利活動を規制することを提案」したと述べた。

 

パリの事例は、日本の先行事例となる可能性も

日本では6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立。年間の営業日数は最大180日となっているが、フランスでも同様に貸し出し日数制限が設けられている(フランスは年間120日)など共通点も多い。

住宅宿泊事業法の施行は来年以降となるが、パリでは今年12月から民泊物件の登録が義務化されることで、これまでよりも住居の貸し出しを年120日以内に定めた法律の順守が進むほか、当局による物件情報(住所やホストの情報)の把握や税金の徴収などが容易となる。

住宅宿泊事業法の本格運用を前に、民泊物件の登録を義務付けるパリの動向には今後も注視していきたい。



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