民泊の世界最大手サイトを運営するAirbnb(米国)は9月13日、アジア太平洋(APAC)地域の出張利用が急激に伸びていると発表した。APAC地域の法人の出張予約件数は前年から5倍近く増え、世界平均の4.3倍を上回る勢いで急成長しているという。
APAC地域では最近、レンタル大手の「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ、現代自動車(韓国)の大手企業らが「Airbnb 法人プログラム」に参加したことを明らかにした。2015年に同プログラムを立ち上げて以来、出張時にAirbnbを利用したAPAC地域の企業は約53,000社に上っている。
Airbnbでは、出張でも旅をする感覚の「ビジネストラベラー」が増えていると分析している。Airbnb 法人プログラムは、世界で延べ25万社の利用があり、ビジネストラベラーがAirbnb全利用者の15%を占めるまでに増加。アジア地域では、出張に週末を追加するビジネストラベラーも増え、平均宿泊に日数が4泊から6泊に伸びているという。
▽Airbnb出張担当グローバル責任者 David・Holyoke氏のコメント
「最近は出張でも旅のように、ユニークな宿に泊まって、現地の暮らしを体験したいという要望が高まっています。Airbnbで出張すると、現地の隠された魅力に触れることができ、暮らしを肌で感じることができます」
グローバル・ビジネス・トラベル・アソシエーションの推計によると、APAC地域は世界の出張消費額のうち、約4割の最大のシェアを占めているという。同地域は今後10年間、年率3.7%の成長を続けていくと見込んでいる。伸び率が顕著なのはアジア地域で、2027年には現在の2倍以上の年間6,450億ドルに達し、米国を大きく引き離し、世界の出張消費の半数がアジアになるとみている。
APAC地域は全世界の貿易の約7割、日本による直接投資が約4割を占めており、世界の経済において最重要地域だ。国際通貨基金(IMF)によると、2017年の同地域成長率を6%から7%に上方修正しているほど、世界的に見ても経済が活発な地域だ。IMFでは今後も高レベルで成長を続けていくとしている。
「Airbnb 法人プログラム」は、Airbnbの旅行プラットフォームの拡張サービスとして、2015年7月にサービスを開始。出張管理のシステムを組み込み、出張者が自ら宿を直接予約でき、経費を自動精算できる。企業の規模を問わずに利用することが可能だ。
今後も日本を中心としたアジア圏を擁するAPAC地域は、経済活動が活性化する。2020年に東京五輪・パラリンピックが控えている。Airbnb 法人プログラムを利用する企業が増えていくのは間違いなさそうだ。