旅行者に対して優れたデジタルサービスを提供することは、旅行者の世代に関わらず重要であるー。そんな調査結果が Travelport(トラベルポート)の「Global Digital Traveler Research 2019」(20 カ国 23,000人(米国からの旅行者 1,000 人を含む)を対象に実施した調査によって明らかになった。
一般的には、デジタルサービスについては若い世代のほうが親和性が高いと考えられるが、調査によると、世代を問わずすべての年齢層において、ホテルや航空会社を予約する際に、オンライチェックイン、スマートフォンでのルームキー(スマートキー)など、優れたデジタルサービスの有無を重視することがわかった。
調査によるとGeneration Z(1990年代半ば~2010年頃の生まれ)でのデジタルサービス重視率は、81%と群を抜いており、Generation Y(1980年代初頭~1990年代半ば生まれ)が 78%、Generation X(1960 年代初頭~1970 年代生まれ)が 67%、ベビーブーマー世代(1946 ~ 1964 年頃生まれ)が 60%というランキングとなっている。
またGeneration Yの4分の3(約 76%)は、スマートTVやデジタル音楽プレイヤー、Bluetoothスピーカーなどの室内デジタルサービスが宿泊施設を選ぶ際に重要であると述べている。
Travelport によると現在の旅行者の半数近く(45%)が、スマートフォンやスマートウォッチなどのモバイルデバイスで 24 時間予約情報にアクセスできない状況に不満を感じており、その率は2018年から9%増加している。世代別では特にGeneration Y(50%)とGeneration Y世代(47%)の不満が高い。
また旅行者の半数近く(44%)が旅行用途で音声検索を利用しており、利用率はGeneration Y(61%)が最も高く、ベビーブーマー層(12%)が最も低い。尚、最も検索されている情報は、目的地の天気情報(60%)と現在の交通情報(54%)だった。
テクノロジーで改善できる領域は依然として多い
ただしテクノロジーはまだ不完全な状態である。例えば、旅行者の5分の2(42%)が不満を相手に伝えることができないと感じており、2018 年の調査の 38%から増加している。全ての世代で同様の傾向を見せているが、ベビーブーマー世代(43%)で最も高くなっている。
旅行の調査を行う際は、旅行者の4分の3(77%)がソーシャルメディア(SNS)に投稿された動画や写真を参考にしており、その割合は、2018 年から2%増加した。また Facebook はあらゆる年齢層に最も影響力のあるSNSと考えられているが、Generation G では Instagramがわずかにリードしている。
また全旅行者のほぼ半数(48%)が、VR体験が旅行計画の改善に役立つと考えている。特にGeneration Y(61%)のニーズが高いが、他の世代でも重要な技術となるようだ。VR技術は、今後の旅行業界において重要なテクノロジーとなる可能性を有している。
Travelportの最高顧客責任者/CMOであるFiona Shanley氏は声明で「Travelportの最新の世界的な調査によると、個人に最適化された提案から、信頼できる情報ソースからの魅力的な提案まで、テクノロジーが鍵を握ることが明らかである。新しいテクノロジーの採用と新しい業界標準の使用は、旅行業界が進もうとしている方向である」と述べた。
旅行業界はいちはやくサービスにインターネットを取り入れた業界として知られている。しかしテクノロジーを利用した旅行の利便性や満足感の向上には、まだ改善の余地が残されており、各社がテクノロジーへの投資を進めている。旅行業界全体で、テクノロジーへの投資が生き残りを左右する状態が今後も続くことになりそうだ。