国土交通省はマンション管理規約で民泊を禁止している場合、民泊を認めない方針であることを8月5日付の朝日新聞が報じた。2018年1月をめどに施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)を見据えて、マンションで民泊が増えることを踏まえ住民の住環境に配慮する。
現状の民泊事業は、民泊条例を制定する大阪市や東京都大田区などの自治体を除き、旅館業法の許可がなければ運営できない。民泊新法が施行されると、これまでホテルなどの運営ができなかった住居専用地域での事業が可能になる。一定の条件はクリアしなければならないが、旅館業法に比べて大幅な規制緩和となることから今後合法民泊施設が増加することが予想されている。
国交省の方針は、マンション住民への平穏な住環境の維持を最大限に尊重した形だ。全国で増加している無許可民泊をめぐっては、住民との間でトラブルも絶えない。特に騒音による影響が大きく、ごみ出しのルールの不徹底も挙げられる。不特定多数の外国人旅行者が出入りすることによって、不安に陥る住民も多い。大阪や東京などでは、マンションでの無許可民泊をめぐり訴訟が相次いでいた。
国交省では、全国のマンションの8割以上が利用している「マンション標準管理規約」のひな型を改め「専有部分を住宅宿泊事業に使用できる/使用できない」など民泊可否の明記を求める。6月には国民から意見を募るパブリックコメントが実施され、民泊の合法化を前にマンション標準管理規約の改正に向けた準備が着々と進められていた。
8月中にも不動産会社などのマンションの管理組合団体、業界団体に、新たな「マンション管理規約」を通知。民泊新法施行までに、全国のマンションの管理規約で民泊の可否を明らかにするよう求めていく。