新型コロナウイルスが世界で猛威を振るっておりホテル業界は甚大な影響を受けているが、世界でホテルチェーンを展開するヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(Hilton Worldwide Holdings Inc.)は、事業の中核を守ると共に影響を受けた従業員をサポートするために講じる対応策を公表した。
ヒルトンは現在、旅行が事実上停滞しているため、自社ホテルやフランチャイズホテルの多くで営業を休止しているほか、営業を継続中のホテルでも、稼働率が大幅に落ち込むなどの影響を受けている。感染症拡大による宿泊需要の急減速を受けて、ヒルトンは企業レベルで経費を大幅に削減し、事業を継続するための対応策を明らかにした。
具体的には、ヒルトン CEO、クリストファー・ナセッタ氏は、今から年末までの給与を全額カットを決定。また、幹部メンバーもコロナウイルスによる危機が続く間、給与の5割をカットする。
また、4 月 4 日から、コーポレート部門の従業員の多くは、勤務スケジュールを減らすほか、最大 90 日間の一時帰休することになる。この間、従業員の健康保険は維持されるほか、失業給付を受ける資格を得ることができる。 なお、一時帰休しない従業員は最大 20% の減給となる。
ヒルトンにとっては難しい決断とはなるが、「これらの決定により現在の危機を乗り切り、再び安全に旅行できるようになった時に従業員とともにゲストをお迎えできる最高の状態にできる」とコメントした。
一時帰休となった従業員向けの臨時雇用支援なども
ヒルトンは自社のワークフォース・リソース・センター(Hilton Workforce Resource Center)を通して、従業員に直接、Amazonをはじめとする30社以上の企業で、50万件以上の臨時雇用の仕事に直接、場合によっては迅速にアクセスできるような環境を整備した。
ヒルトンは、このプログラムを世界的に拡大するほか、危機を乗り切り人々の旅行が再開された際には、従業員の復帰を歓迎する方針だ。
ヒルトンはまた、新型コロナウイルスで直接的な被害を受けた従業員や家族を支援するため、チームメンバー支援基金(Team Member Assistance Fund)を設立。中国で新型コロナウイルスによる危機が始まって以来、現金化できるポイントと金銭的な寄付を基金に行ってきたという。
ヒルトンは世界 14 の国と地域に約 6,000 軒のホテルを有し、世界で約 45 万人の従業員を擁する大手ホテルチェーン。CEOの給与全額カットといった経費削減策に加えて、従業員向けの臨時雇用支援などで未曽有の危機を乗り越える考えだ。