【過去最高】京都市、ホテル・旅館など5万3千室を突破 必要客室数を大幅超過で供給過剰に

京都市におけるホテル・旅館など宿泊施設の総数が 2020 年 3 月末時点で 3,993 施設、客室総数は 53,471 室となり、過去最高を記録したことが明らかになった。旅館・ホテル営業、簡易宿所営業などの営業形態別でも、いずれも過去最高の施設数及び客室数となっている。

営業形態別では、旅館・ホテル営業の施設数が 656 施設(前年 624 施設)で総客室数 36,243 室(前年 33,608 室)で、客室数全体の 67% を占めた。簡易宿所営業の施設数は、3,337 施設(前年 2,990 室)で総客室数 17,228 室(前年 12,539 室)となっており、いずれも前年同月比で上回った。

京都市では、2016 年に 2020 年には 4 万室の宿泊施設が必要となる一方で、1 万室不足するとして「宿泊施設拡充・誘致方針」を発表。その後、インバウンドの急増とともに、当時の必要客室数 4 万室を大幅に超過し、 2020 年 3 月末で 5 万 3 千室を上回るに至った。

施設数の増加を受けて、京都市の門川大作市長は 2019 年11 月にこれまでの誘致方針から一転して「市民の安心・安全や、地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入を今後はお断りしたい」と述べ、宿泊施設のお断り宣言を表明。

2020 年 1 月には全国で初めて京都市内で新設されるホテルまたは旅館業等の宿泊施設に対して、2021 年以降原則バリアフリー化を義務付ける方針を発表している。

さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大で各国政府による出入国拒否や日本政府による外出自粛要請などを受け、京都市観光協会が発表した 2020 年 3 月の京都 59 ホテルにおける客室稼働率は、前月の 54.3% を 20 ポイント超下回る 30.3% に大幅下落している。

宿泊施設のお断り宣言やバリアフリー化の原則義務化による新設ホテルの抑制、さらに新型コロナウイルスによる未曽有の事態にも関わらず、京都市の宿泊施設数は過去最高の数値を記録したということになる。

過去最高の宿泊施設数を記録した背景には、ホテルプロジェクトは、その規模にもよるが一般的には、2~3年程度かかることもあることも多い。また、2020 年は東京五輪が開催される予定で訪日客の増加が見込まれていたことも背景にある。

京都市内の宿泊施設数・客室の推移(出典:京都市 許可施設数の推移)



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