京都市は、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動の低下やコミュニティ活動の制限などにより、街の活力の低下が懸念されることを受けて、ホテルを住宅に転用する場合に最大 300 万円を補助する助成制度を開始することを明らかにした。
新たに創設された支援制度「地域コミュニティ活性化に資する新たな住まい創出支援事業」は、国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用し、事業継続が困難な宿泊施設の住宅等への転用を支援する。
補助金の対象となるのは、旅館業法に基づく宿泊施設又は開業前の宿泊施設(廃業済のもの,令和 2 年 4 月 1 日時点で未竣工のものを含む。)について、「地域コミュニティに資する住宅等」として使用するために工事等を行う者(所有者、借主等)。住宅宿泊事業の民泊は対象外。
なお、補助対象者は、転用後の住宅等を使用しようとする者等に対し、地域自治活動に係る情報等を提供するほか、居住者等に対し、自治会加入を勧奨するなど、「地域コミュニティに資する活動を企画・提案し,地域自治活動を支援する」ことが必要となる。
3階建て以上、かつ、住戸が 15 戸以上の共同住宅に改修する場合は、当該共同住宅の居住者と地域住民との交流を促進するため、地域自治組織との連絡・調整を行うことが必要。補助対象者が居住する場合は、地域活動に参加するよう努める必要がある。
事前相談の受付は、2020 年 8 月 31 日から 9 月 11 日まで。申請受付は、2020 年 9 月 14 日から 12 月 28 日まで受け付ける。なお、補助申請の総額が予算の上限に達した場合は、申請書受付期間内であっても、申請受付を締め切る場合がある。
新型コロナの影響 京都では3か月連続でホテルが減少
京都市の宿泊施設はインバウンド需要を背景に、ここ数年は連続的に宿泊施設の数は大幅に増えていたが、新型コロナウイルスの影響により、宿泊施設数は、2020 年 4 月をピークに減少に転じ、3 か月連続で前月を下回り続けている。
新型コロナウイルスの感染拡大によりインバウンド利用がほぼゼロ近くにまで減少したほか、移動自粛などを受けて、宿泊施設の利用者は大幅に減少。京都市観光協会によると、2020 年 4 月の京都 55 ホテルにおける客室稼働率は、 5.8% にまで低下。
2020 年 6 月の客室稼働率(59 ホテル)は 15.5% で、2か月連続の上昇とはなったが、前年同月(2019 年 6 月)の客室稼働率は 82.0% で、新型コロナウイルス前の水準からは程遠い状況だ。
新たに創設された京都市の支援事業では、旅館業法に基づく宿泊施設だけではなく、開業前の宿泊施設も対象となるほか、すでに廃業した宿泊施設も住宅等に転用することで補助金を受けることができる。
7 月下旬からは政府の旅行需要喚起施策「GoToトラベルキャンペーン」の開催がスタートしたことで回復傾向にはあるが、コロナ前の水準までの回復はまだ難しいことから、この支援策を活用するというのも一つの手となると言えるだろう。