ITの国内大手・楽天が中国の民泊最大手の途家(トゥージア)と提携することが7月21日、分かった。民泊の仲介に加えて運営も支援し、日本に進出している世界最大手の民泊仲介のAirbnb(エアービーアンドビー)へ包囲網を固める。日本経済新聞が同日、報じた。
楽天とLIFULLが共同出資する楽天LIFULL STAY(以下、楽天LIFULL)が中国からのインバウンド(訪日外国人)に着目し、国内の宿泊事業に新たな流れを呼び込む。観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2016年の国内の国籍別外国人延べ宿泊者数は、中国が1,687万人(泊)で最多の26.3%を占め、2位の台湾が16.4%で中国人客が非常に多いのが特徴だ。楽天LIFULLは、自社の民泊プラットフォームに掲載する物件を途家にも掲載することで、増え続ける訪日中国人観光客の獲得を狙う。
今回の提携は、日本市場へ積極的に展開したい途家にとっても大きな好機となりそうだ。途家は中国を中心とした中華圏に50万件以上の物件を掲載しているが日本で約5,000件にとどまっており、日本で5万件以上の物件を掲載するAirbnbと比べると約10倍の差が開いていた。途家は楽天との提携で、2年後をめどに2万件以上に物件を増やすことを目指す。
途家の中華圏の民泊物件は、富裕層などに対応した宿泊施設も数多く展開。Airbnbでは一部で高級物件も増えてはきているが、現状で低価格の民泊施設の提供が中心だ。楽天LIFULLとの提携で、Airbnbに先行を許している日本市場で、本格的な追撃態勢を構築することになりそうだ。
楽天LIFULL連合、対Airbnbで包囲網を形成へ
楽天LIFULLでは今後も積極的に民泊を含めた宿泊事業を展開していく。民泊専門メディア Airstairが行った同社社長への独占インタビューでは「オープン戦略」を推し進める考えを明らかにしており、その方針通り、米オンライン予約サイト大手のエクスペディア傘下のHomeAwayとの提携発表後、2週間後には台湾民泊プラットフォーム最大手のAsiaYoとの提携を発表していた。
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中国民泊プラットフォーム最大手の途家とも近日提携を発表するものとみられ、楽天LIFULL連合は楽天トラベルで培ったノウハウと自社の民泊プラットフォームを最大限に生かしながら、世界の名だたる民泊プラットフォームと連携し、日本での市場をさらに広げる考えのようだ。
【楽天(グループ)の最近の提携状況】
▽2017年
6月23日 LIFULLと共同で新会社・楽天LIFULL STAYを設立
7月3日 楽天LIFULL STAYとエクスペディア傘下のHomeAwayが提携
7月20日 楽天LIFULL STAYと台湾の民泊サイトを運営するAsiaYoが提携
近日 楽天LIFULL STAYと中国民泊の最大手の途家が提携