中国の大手民泊仲介サイトである「小猪(シャオジュー)」は、同国で急成長する民泊業界における安全性向上の広範な取り組みの一環として、顔認識スマートロックの導入を計画していることを明らかにした。
同社は今後1年以内に中国南西部の成都市内にある民泊物件のうち約8割の物件に顔認識対応のドアロックを設置する。成都市は四川省の省都として、中国西南の経済やカルチャーの中心地であり、同社売上で2番目に大きい都市。
「フェイススキャンチェックイン」は、ホテルなどの宿泊施設のチェックインでは従来フロントでの対面チェックインが一般的であったが、ウェブカメラなどを利用してスタッフが本人確認を行う遠隔チェックインなどとは異なり、顔認証で本人確認を行うシステム。
小猪は顔認証によるフェイススキャンチェックインに加えて、検煙装置、ガス警報器、盗難警報器を備えるなど、安全性を向上させるための対策も発表している。
小猪は、フェイススキャンチェックインの導入と、民泊物件の安全性を高めるための防災・防犯設備の導入を促進することで、安全性と信頼性の高い物件の提供を加速させる考え。
小猪は2018年10月に、アリババグループ創業者のジャック・マー会長が率いる「Yunfeng Capital(雲鋒基金)」などから約340億円(3億ドル)の資金調達を実施。調達した資金については、安全性やサービスの向上に充てる考えを示していた。
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急速に拡大する中国の民泊市場で、競争も激化
中国国家情報センター(State Information Center)の最新レポートによると、2017年に民泊ビジネスに関与したホストとゲストの数は合計7,800万人で、約2,300億円(21億米ドル)の市場規模を誇る。同センターによると2020年には、8,000億円(7.3億米ドル)に達する見込み。
中国で急拡大する民泊市場とともに、民泊仲介サイト間での競争も激化。中国では世界大手のAirbnb(エアービーアンドビー)や途家(トゥージア)などの民泊仲介サイトがしのぎを削る。
Airbnbは世界全体で500万件、途家は120万件、小猪は50万件の民泊物件を掲載しており、中国国内での民泊物件数では、最大手の途家に対してAirbnbと小猪の掲載数が並ぶと言われる。
遅れを取る小猪は、昨今力を入れているのが中国最大手のECサイト運営企業 Alibaba Group(アリババグループ)との連携だ。
2018年はアリババ傘下のオンライン旅行サイト「Fliggy(フリギー)」と戦略的パートナーシップを締結したほか、同じくアリババ傘下の中国版フリマサイト「閑魚(XianYu:シェンユー)」と提携した。
小猪は、アリババグループ創業者のジャック・マー会長が率いる投資ファンドからの資金調達も行い、中国国内での民泊市場シェアの拡大を狙う。
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